本の内容をAIに要約させるのではなく「著者と対話」させる方法
この記事でできること
ChatGPTに本の要約を出してもらうだけで終わっていませんか。「著者ならこの質問にどう答えるか」を聞くと、要約では得られない読書体験になります。
- ChatGPTに「この本の著者として答えてください」と頼むと、著者の視点で対話ができる
- 「自分の仕事にどう活かせるか」「ここが納得いかない」を著者目線で返してもらえる
- 一方的に読むのではなく、対話しながら読むことで理解が深まる
使うもの: ChatGPT(無料版でOK)
かかる時間: 1回の対話で約10分
必要なスキル: なし
要約を読んでも「自分のもの」にならない問題
ChatGPTに「〇〇という本を要約してください」と頼む人は多いと思います。便利ですが、要約を読んだだけでは「その本を読んだ人」にはなれません。要約は情報のダイジェストであって、自分の頭で考えるプロセスが抜けているからです。
本を読んで得たいものが「あらすじ」なら要約で十分です。でも「考え方を変えたい」「仕事に活かしたい」のであれば、もう一歩踏み込む必要があります。
そこで試してほしいのが、ChatGPTに「著者の役をやってもらう」方法です。
やり方:著者になりきってもらって質問する
ステップ1:ChatGPTに役割を伝える
読んでいる本(または読んだ本)のタイトルと著者をChatGPTに伝え、こう頼みます。
「これから『嫌われる勇気(岸見一郎・古賀史健)』について話し合いたいです。あなたはアドラー心理学を研究している岸見一郎先生の立場で答えてください。私が疑問に思ったことを質問するので、著者ならどう答えるかを推測して返してください」
ステップ2:読みながら疑問をぶつける
本を読んでいて「ここはどういうこと?」「これは自分の状況には当てはまらないのでは?」と思ったら、そのままChatGPTに聞きます。
「承認欲求を否定すべきだと書いてありますが、仕事で上司に認められたいと思うのは自然なことではないですか?」
するとAIは、著者の立場でこう返します。
「認められたいという感情は自然です。ただ、その感情を行動の動機にしてしまうと、他者の期待に沿うために自分の人生を生きることになります。上司に認められるかどうかは『他者の課題』であり、あなたがコントロールできるものではありません。あなたがコントロールできるのは、自分の仕事の質を高めることだけです」
要約にはない「自分の疑問に対する答え」が返ってくるのがポイントです。
ステップ3:反論してさらに深める
AIの答えに納得がいかなければ、反論してみてください。
「でも、上司の評価がボーナスや昇進に直結する以上、他者の課題だと割り切れないのですが」
「おっしゃる通り、現実の制度として評価は存在します。ただアドラーが問題にしているのは——」
この往復が3〜4回続くと、本の内容が「情報」から「自分ごと」に変わっていく感覚があります。
「読書会を一人でやる」感覚
この方法は、読書会に参加しているのと似た体験をもたらしてくれます。読書会では参加者同士が本の内容について議論しますが、ChatGPTとの対話もそれに近い構造です。
違いは、相手が著者の立場で答えてくれること。読書会では「私はこう思った」という参加者の意見が中心ですが、AIとの対話では「著者ならこう考えるはず」という視点が加わります。
もちろん、AIが再現する「著者の回答」は推測に過ぎません。実際の著者がどう答えるかは分かりませんし、著者の本意とズレていることもあるでしょう。それでも、「一人で黙々と読む」のと「疑問をぶつけながら読む」のとでは、理解の深さがまったく違います。
複数の著者を「対談」させることもできる
さらに面白い使い方として、異なる著者同士を対談させる方法があります。
「岸見一郎先生とスティーブン・コヴィー(7つの習慣の著者)が対談したら、『主体性』についてどんな議論になりますか?」
AIは両者の著作内容を踏まえて、架空の対談を作ってくれます。同じテーマを異なる視点から見ることで、どちらの考えが自分にフィットするかを考えるきっかけにもなります。
要約は「入口」、対話は「体験」
AIに要約を頼むことが悪いわけではありません。興味のある本かどうか判断するために要約を読むのは効率的です。ただ、本の価値を最大限に引き出したいなら、要約の先にある「対話」を試してみてください。
読んでいる本を閉じて、ChatGPTに「この部分について著者ならどう答えますか?」と聞いてみる。その10分が、読書体験を別の次元に引き上げてくれるかもしれません。